本研究は、画像の先鋭化やエッジ検出に用いられる画像処理技術である二次元空間二次微分フィルタを、CCDカメラ、イメージファイバ光学系、ピエゾ素子駆動ステージを結合させることでハードウェア的に実現し、試料表面からの光信号の変化を二次元画像として高感度に検出するための装置開発を主な目的とする。具体的には、イメージファイバ直下の試料の位置を微少量変化させ、取得イメージの差分をとることにより、光源、ファイバ光学系、検出器の時間的・空間的揺らぎをほぼキャンセルしつつ、試料からの光信号の位置依存性のみを高感度に検出できるものと考えている。初年度にあたる本年度は、個々のハードウェアの選定と構築をおこなった。当初、予定していた整列タイプのイメージファイバは、予算内での購入が困難であることがわかり、通常の非整列タイプを購入することとした。これについては、駆動ステージの高精度化と画像取得のアルゴリズム変更で、装置の性能を維持できると考えており、駆動ステージとして、フォーカス調整のZ軸を加えた、高精度3軸ピエゾ素子駆動ステージ、およびコントローラを選定した。また、検出器として、ノイズの少ない天体観測用のペルチェ冷却CCDカメラを購入した。光源は、光出力の安定性が良好な半導体レーザーモジュールを選定した。本測定システムは、CCDカメラ、イメージファイバを含めた光学系とピエゾ駆動試料ステージとの高精度な連携が、装置の性能と操作性を向上させる上で極めて重要である。そこで、これらハードウェアを、光学レール、マウント、ホルダーを介して、光学定盤と除振台で構成される除振システム上にすべて配置した。今後、磁気光学カー効果を利用して、Bi置換鉄ガーネット等の強磁性体の磁区構造の観察をおこない、光学系の調整、ステージの駆動方法等の最適化を図る予定である。
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