研究課題
本研究では金属上に置かれたZn0ナノ粒子からの励起子発光における増強機構の解明とその応用を目指してきた。プラズマによる気相堆積法等で作製された様々な粒子サイズ(8 nm-200 nm)を有するいくつかのZnOナノ粒子を用いた。ナノオーダーの凹凸を有する各種金属表面を準備し、スピンコート法によりそれら表面にナノ粒子を塗布した試料を作製した。最終年度ではZn0ナノ粒子からの励起子による発光スペクトルの金属の表面凹凸依存性や発光寿命測定を通して、発光増強現象の解明とその応用を試みた。金属としては主に発光増強の著しいAgを用いた。物理的研磨、および、スパッタ法により作製した様々な凹凸を有する表面にZn0ナノ粒子を塗布した場合の発光増強度を詳細に調べた結果、凹凸の大きさが用いるナノ粒子のサイズ程度となると、顕著な発光増強がみられることがわかった。すなわち、このサイズの一致により励起や発光緩和が効率よく行われることを示している。一方、ナノオーダーの凹凸のあるAg上に置かれたZnOナノ粒子からの励起子発光の寿命を測定したところ、輻射再結合に対する無輻射再結合の割合が減少していることが判明した。金属表面の影響による無輻射再結合の抑制効果は発光増強の機構の一部には寄与していることを示唆する。以上の実験結果から金属の表面状態、特に表面プラズモンと発光との関連性を明らかにすることができた。また今回新たに顕微測光分光システムを構築し、微小領域からの発光を測定することが可能となった。逆ピラミッド構造をもつ制御されたAg表面上のZnOナノ粒子からの発光が構造がない場合よりも強くなり、これまでの結果を支持する結果が得られた。また、これらを応用して金属の粗い表面上に分散させたZn0ナノ粒子からランダムレーザーを観測することに成功した。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
J. Appl. Physics
巻: 110 ページ: 113526-1-113526-7
DOI:10.1063/1.3665225
MRS Proceedings
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