研究課題
平成24年度は、本課題の最終年度にあたるため、これまでの成果を集大成するとともに、今後の新たな展開も念頭に置き研究を進めた。特に、本課題の主たる対象物質である(EDO-TTF)2PF6 に対して、昨年度に引き続き、我々が開発を進めてきた「環境場を無撞着に取り入れた第一原理計算」を用いた励起状態に対する原子緩和の理論について詳細な検討を進めた。その成果を取り纏め、Physical Review Lettersに論文発表した。また、この成果の重要性を考え、高エネルギー加速器機構からプレス発表をおこなった。より具体的には、この論文において、(1)CT2と呼ばれる特定の励起状態が大きな構造緩和を起こすこと、(2)この緩和の方向が絶縁体-金属転移で期待される構造変形に近く、特に分子間距離の変化に大きく見られる ことなどを明らかにし、CT2からの励起緩和が光誘起相転移の初期過程として重要なことを理論的に解明した。(BEDT-TTF)2I3に対して、ハイブリッド型密度汎関数法を用いることにより、この物質の電荷秩序状態を良く説明できることを、国際会議で発表した。新たな展開も念頭においた研究として、水素結合型強誘電物質であるクロコン酸に対し、密度汎関数法を用いたクラスター計算を行った。この物質の励起状態と非線形光学効果に関し分子軌道からの知見をうることができ、実験研究とともにApplied Physics Letters に論文投稿を行った。その他、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーやナフチルヘキサトリエンなど有機材料について密度汎関数法計算などを行い、実験研究者と論文発表をおこなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) 備考 (3件)
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