本研究における特筆すべき成果は、価数揺らぎ超伝導が実現している可能性が議論されているCeCu_2Si_2の高圧相において、小型(34mmφ×45mm)の対向アンビル型圧力セルを用いて最大5. 4万気圧の圧力下でCu核のNQR信号を測定し、臨界圧力(4. 5GPa)近傍でCe価数の急な増大の観測に初めて成功した点にある。また、Ce価数が臨界圧力を境に高価数状態へクロスオーバーするように見えるのは注目に値する結果である。NQRという微視的研究手段を用いて、Ce価数状態の直接的な情報が得られた成果として位置づけられる。
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