研究概要 |
1. Yb系重い電子系化合物における核磁気共鳴(NMR)/核四重極共鳴(NQR)測定 YbCo_2Zn_20について、^<59>Co-NQR測定(ゼロ磁場下)と^<59>Co-NMR測定(1~10T)によって、スピン相関に関する磁場依存性を調べた。強磁場下ではスピン揺らぎが大きく減少することが、伝導電子系にFermi液体的振舞いが誘起させる主な原因であることが分かった。 2. Yb系重い電子系化合物におけるX線吸収スペクトル(XAS)測定 磁性-非磁性転移近傍に位置し幾つもの自由度が拮抗する4f電子系において、磁場の効果を明らかにするために、2~300K、0~10Tの温度・磁場領域でのYb-L3端のXAS測定によってYbCo_2Zn_20のYb価数の磁場依存性を調べた。その結果、価数には顕著な磁場依存性がなく、磁場誘起のFermi液体状態は、上述の1との兼ね合わせから、磁場と磁気モーメントの相関が主な原因であることが分かった。1と2の内容に関して現在論文投稿準備中。 3. Sm系重い電子系化合物におけるNMR/NQR測定 Yb系と同様に4f^1ホール状態を有するSm系について、磁性-非磁性転移近傍における特性をあきらかにするために、SmB_6に関して圧力下^<11>B-NMR測定を行っている。1.5GPaの圧力下ではスピン相関や低温絶縁体ギャップの大きさに顕著な変化がないことが分かった。現在は、より高圧下での測定(~3GPa:ピストンシリンダーセル,~10GPa:アンビルセル)のための準備を並行して進めている。
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