1. Yb系重い電子系化合物であるYbCo_2Zn_<20>やYbPtSbにおいて核磁気共鳴(NMR)/核四重極共鳴(NQR)測定を行った。前者については、^<59>Co-NQR測定(ゼロ磁場下)と^<59>Co-NMR測定(0.8~10T)によって、強磁場下ではスピン揺らぎやフェルミ準位での状態密度が大きく減少することがわかった。また、参照物質LuCo_2Zn_20についても同様の実験を行うことにより、NQR/NMR測定における4f電子と伝導電子の寄与を分離することに成功した。さらに、^3He冷凍機(兵庫県立大)、^3He^<-4>He希釈冷凍機(京都大との共同研究)を用いてNQR測定を行い、極低温下における重い電子状態形成と思われる実験証拠を得た。 2. Sm系重い電子系化合物であるSmB_6に関して、磁性-非磁性転移近傍における特性を明らかにするために、圧力下^<11>B-NMR測定を行った。圧力発生容器(ピストンシリンダーセル)を用いて2.5GPaの圧力下までの測定を行い、低温絶縁体ギャップの大きさが圧力増加と共に減少することを初めてNMR測定によって明らかにした。当年度後半からは、さらに高圧下での測定を行うためにブリッジマンアンビルセルを用いた測定の準備を千葉大学との共同で行っている。 3. ^3He冷凍機の製作を行い、ハンドリングシステムを完成させた。これは、既存の15テスラ(T)、8T高均一マグネットをより有効活用するために、これらのマグネットサイズに合う超低温冷凍機を製作し、低温・高磁場・高圧の多重極限下NMR測定を可能にするためである。次年度に^3Heプローブを完成させ、重い電子系や有機導体化合物のNMR測定研究に適用させる。
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