研究概要 |
1.Yb系重い電子系化合物であるYbCo_2Zn_<20>やYbPtSb、YbCu_5において核磁気共鳴(NMR)/核四重極共鳴(NQR)測定を行った。特にYbCo_2Zn_<20>については、弱磁場(0.8T)下における^<59>Co-NMR測定の結果が得られ、ゼロ磁場から強磁場(10T)までの系統的な物性変化、また0.8Tにおける量子臨界現象に起因すると考えられる振舞いが観測された。YbCu_5については、これまで明らかではなかった高温領域(100K以上)でのf電子状態に関して、局在性の強い状態にあることを示す実験的証拠が得られた。 2.Sm系化合物SmB_6に関して、磁性-非磁性転移近傍における特性を明らかにするために、圧力下^<11>B-NMR測定を行った。高圧発生技術に関して、これまでの限界であった約3GPa(ピストン・シリンダー型圧力発生容器(セル)を使用)をさらに高圧領域に拡張するため、産業総合研究所、千葉大学理学研究科との技術協力を進め、改良型のブリッジマン・アンビル型セルを用いることによって、約5GPa下における測定に成功した。得られた結果は、この物質が示す半導体ギャップが5GPaまでに単調に約30%減少することを示しているが、今回の成功より、今後NMRの利点を生かして、磁性、Sm価数、半導体ギャップ等の圧力依存性と相互の関連に関する微視的情報が得られる目途が立った。 3,U系化合物URu_2Si_2に関して、RuサイトやSiサイト(^<73>Ge置換による)における核四重極相互作用を詳細に調べる研究が進み、得られた結果に関して国内外の多くの研究者と議論を行った。特に、国際会議SCES 2011(8-9月,Camblidge(英国))参加や、Grenoble原子力研究所(6月,仏国)訪問によって、成果報告と議論を行う有意義な機会を得た。
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