研究課題
フェルミ粒子系の基底状態は超伝導であり、乱れを導入するとAnderson局在との競合が起こる。一方、ボース粒子系の基底状態はBose-Einstein凝縮相であり、乱れを導入すると絶対零度において『ボースグラス相』が現れることがM.P.A. Fisherらによって理論予想されているが、未だその実体は検証されていない。ボースグラス相は絶対零度で現れるため、実験室すなわち有限温度で直接観測するのは難しい。これまでの研究は、ボースグラス相とBEC相との相境界の変化に関するものが殆どであった。本申請の目的は、NMRとμSRというミクロプローブを用いて、乱れた量子スピン磁性体における絶対零度へ向かう臨界現象をダイレクトに捉え、ボースグラス相が実在するか検証を行うものである。本年度は二つのスピンギャップ系の固溶系であるIPA1-Cu(CI_xBr_<1-x>)_3において不純物誘起磁気転移が見られる組成域x=0.44-0.87の相境界が、0.55程度までずれていること、および、外側x<0.44においても低温で強いスピンゆらぎが存在しながら希釈冷凍温度域まで磁気転移せず、基底状態がボースグラスである可能性を明らかにした。
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http://www.ph.sophia.ac.jp/~goto-ken