研究課題
本計画の目的は、希土類四極子秩序系での転移点近傍の原子・磁気モーメントの熱振動変化から、これまで情報が欠落していた格子と四極子秩序・磁気秩序の関係を理解する事である。そのために、二つの異なる波長を複合的に用いて解析結果の精度をあげる複色中性子回折法を実用化しることを提案した。本基盤Cの支援により、東北大学金属材料研究所が日本原子力研究開発機構のJRR3(茨城県東海村)に設置した中性子粉末回折装置HERMESのモノクロメーターの面積の二倍化、および、それに対応するための遮蔽体の改造を行った。その結果、強度の二倍化と二波長の取り出しに成功した。平成23年度に予定していた本実験は、震災にともなう原子炉停止により行うことができなかったが、震災前に装置整備をおおよそ完了し、希土類化合物ErB2C2でのテスト実験を行うことができた。ErB2C2は申請時にターゲットとしていた四極子秩序化合物DyB2C2 と同じ系列に属し、かつ多段の磁気転移をしめることから参考試料として適していた。中性子の実験環境の特殊性から、本研究を他装置へ切り替えることはできなかったが、震災以前の一連のテスト結果により複色回折実験の有効性が確認できたので、その結果をふまえてHERMESのモノクロメーター周りの構造の改良を行い、原子炉停止中に装置の高度化を進め、原子炉再開後直ちに当初予定の複色回折実験での本実験を開始できる環境を整えた。平成25年度中の原子炉再開を期待しているところである。またこの停止期間を利用して、本基盤Cの改造の拡張として、その多波長機能を活用し、HERMESと同じポートを分岐することに成功した。他の競争的資金を用いてこの分岐したラインに新たに二次元検出器中性子回折装置を設置することができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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