研究概要 |
スピン三重項超伝導体Sr_2RuO_4やUPt_3に磁場を[001]方向に印加し磁化測定を行なった結果,極低温下においてゼロ磁場近傍でヒステリシス磁化に多段のマイクロフラックスジャンプが起こることがわかった.この現象は,超伝導ドメイン構造に深く関連していると考えられる.一方,スピン一重項超伝導体の場合にもゼロ磁場近傍で多段のフラックスジャンプが観測されているが,Sr_2RuO_4やUPt_3の場合と比較して,そのフラックスジャンプの大きさが格段に大きいという特徴を持つ. 本年度は,スピン一重項超伝導体(UPd_2Al_3,CeRu_2),およびスピン三重項超伝導体(Sr_2RuO_4,UPt_3)の単結晶試料についての磁化測定結果を行った.また,スピン三重項超伝導体Sr_2RuO_4およびUPt_3において,磁場勾配に関して異なる振る舞いを見せることがわかった.Sr_2RuO_4の場合,弱磁場でヒステリシス磁化は磁場勾配の大きく影響されるのに対して,UPt_3の場合,磁場勾配の大きさには磁化は影響を受けない.dベクトルの異方性などが関与している可能性も考えられる.また,磁化測定と同時に比較的高温領域での弱磁場磁化測定用を行えるように,申請した電磁石や既存のGM冷凍機を用いて交流磁化測定装置および磁気抵抗測定装置の立ち上げを行った.抵抗測定装置はほぼシステムが立ち上がったが,熱流入の問題やノイズの問題があり,さらに改良の必要がある.さらに,測定温度範囲を広げるために,最低到達温度を2K以下になるようにGM冷凍機の改良を現在行なっている.
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