| 研究概要 |
Ce-T-Al系の物質開発
本年度は,CeRu_2Al_<10>の相転移の起源を明らかにすることに集中した。
・ 単結晶育成:RT_2Al_<10>(R=希土類元素,T=Ru,Fe,Os),(Ce,R)Ru_2Al_<10>(R=La,Gd,Yb),Ce(Ru,Fe)_2Al_<10>など
・ 物性測定:圧力下の電気抵抗率(8GPaまで),磁化率(1.4GPaまで),比熱(6GPaまで),NQR/NMR,熱膨張率,ホール効果,熱起電力,熱伝導度,超音波速度,熱起電力,光電子分光,中性子回折,μSR,超強磁場磁化・磁気抵抗測定
CeRu_2Al_<10>の物性はStrydomによって27Kで磁気秩序を起こすと報告された。続いて室たちがCeFe_2Al<10>は近藤半導体であると報告した。しかしこれらはいずれも多結晶体であり,これらの異常物性の起源は明確ではない。そこで我々は初めてこれらの物質に加えて上に示したように数多くの関連物質の単結晶育成に成功し,CeOs_2Al_<10>も同様の相転移を示すことを明らかにした。Macro測定から,この物質は価数揺動物質であり,この相転移はCDW的な転移によりフェルミ面の一部にギャップが開く性質のものであることを示唆した。また,NQR測定もこのことを支持しており,さらにCeRu_2Al_<10>の27Kの転移は磁気転移でないことを示した。また,加圧によりCeRu_2Al_<10>の相転移は3GPaと4GPaの間で急激に消失し,近藤半導体を経て重い電子系へと変化することを見出した。CeOs_2Al_<10>とCeFe_2Al_<10>の電気抵抗のふるまいはCeRu_2Al_<10>の2GPa付近と4GPa付近の電気抵抗のふるまいにほぼ対応し,CeT_2Al_<10>(T=Fe,Ru,Os)は圧力によりスケールされることを明らかにした。
冷凍機による物性測定の開発
GM冷凍機は簡便に極低温を実現できるが,温度振動が非常に大きいと問題点がある。GM冷凍機の冷却ステージは4Kで0.3K程度の温度振動がある。温度振動を小さくするためには試料台との間にバッファを取り付けた。温度振動はバッファの熱容量に反比例し熱伝導に比例するため,熱伝導の悪い材料でバッファを作れば温度振動は小さくなる。我々は,様々なバッファを製作し,冷却能力を損ねずに温度振動を1/10以下にすることに成功した。
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