研究課題
本年度は、昨年度に引き続き重い電子系超伝導体のUPt_3とURu_2Si_2を研究対象とし、ジョセフソン効果、点接合分光等のトンネル現象の研究を行った。まず、UPt_3については、超伝導の3つの異なる相のうち、以前のジョセフソン効果の研究で検出していた、低磁場高温側で現れるA相から低磁場低温側のB相へ転移する際のジョセフソン臨界電流の振る舞いの異方性を再現するため、様々な条件で素子を作成して測定した。特に電流がc軸方向の素子については、以前に比べ試料表面の研磨技術が向上したことにより、臨界電流が著しく増大したため、対向電極のNbとの間にCu膜を挟むことで調整する必要があることがわかった。一方、b軸方向の素子については、以前観察されていたのと同様の臨界電流の振舞いが確認されたので、圧力セル内に設置して、ジョセフソン効果の振舞いに変化が生じないか、今後の圧力印加に向けての基礎事項の検討を行った。一方、URu_2Si_2については、圧力下で点接合分光を行うため、昨年開発した点接合の形成方法により接合を形成して、スペクトル(微分伝導度のバイアス電圧依存性)の測定を行った。特に、「隠れた秩序」の出現に伴う17K付近の相転移についての情報を得るため、転移温度付近でスペクトルの温度変化を詳しく調べたところ、転移温度以下のスペクトルに、バイアス電圧に対して対称的、及び非対称的な成分が現れ、オーム則からのずれが顕著になっており、我々の新しいタイプの点接合でも、以前に行われた機械的点接合で得られた結果が再現されることが確認できた。次に、これらの接合を圧力セルに導入して測定を試みたところ、圧力印加により接合の特性が大きく変化することが観察され、接合の形成条件に改善の必要性があることがわかった。
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Physica C
巻: 470 ページ: S577-S578
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 79 ページ: 124707-1-124707-6