研究概要 |
平成22年度は、平成21年度に引き続きLnFeAsO_<1-y>超伝導体がとるZrCuSiAs型結晶構造をとる化合物を中心に、データベース構築を進めた。またこれと並行してZrCuSiAs型結晶構造をとりうる化合物の系統性をまとめた。 この系統性を基に、LnFeAsO_<1-y>獅超伝導体の超伝導特性を担う重要な役割であると考えられるFe_2As_2のとる擬二次元ネットワークに着目し、ZrCuSiAs型結晶構造をとる化合物の他、この擬二次元ネットワークを結晶構造中に有する類縁構造のThCr_2Si_2型結晶構造、類似のネットワークを有するFe_2P型,Co_2Si型結晶構造をとる化合物にも着目し、3d遷移金属のみならず4d遷移金属にも視野を広げて、新化合物探索を行った。 試料合成手法として、短時間で試料合成が可能な高圧合成法を用い、効率よく試料合成を行うとともに、得られた試料を粉末X線回折法により相を同定し、単相化を行った。また単相化を行った試料は、磁化測定、電気抵抗測定により物性特性評価を行った。 その結果、平成21年度に見い出したCo_2Si型結晶構造をとるMgRuP合成の再現性を確認するとともに、この新化合物に加えて1)Co_2Si型結晶構造をとる化合物としてはZrRhAs系新化合物,2)ZrCuSiAs型結晶構造をとる化合物としてはSrRuAsF系新化合物を見出した。 1),2)の化合物はいずれも10K以上で金属的な伝導を示した。 しかしながら、2K以上室温までの温度領域での磁化測定では、残念ながら超伝導転移に対応する反磁性は観測されなかった。
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