研究概要 |
同期特性の優れた位相振動子ネットワークのデザインを中心に研究を行った.このモデルは力学的要素がネットワーク的に相互作用した集団(個体群)と見なせるため,細胞内での生化学反応や代謝反応などの複雑なシステムの最も抽象化したモデルと考えられる.マルコフ連鎖モンテカルロ法により同期特性の優れた機能的ネットワークが具体的に設計し,ネットワーク構造の統計的特徴付けを行った.振動数が異なる振動子集団が同期するために最適な結合ネットワーク,および同一な自然振動子集団が外部ノイズに晒されている場合,ノイズにたいして堅牢に同期するネットワークをそれぞれ設計した.異なる自然振動数を持つ場合とノイズに晒されている振動子集団では異なるネットワーク構造が同期最適である事を示した.また,リンク数の増加に伴い,同期最適ネットワークは構造転移する事が分かった.ノイズに抗した同期最適なネットワークはリンク数が少ない場合にはコアと周辺の振動子に分離した構造を持ち,各素子に共通なノイズによるに同期現象と強い関連があると予想され理論的発展が期待される,これらの成果は国内外の学会・研究集会などで口頭発表し,学術雑誌に掲載された.
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