研究概要 |
回転流や立つ3次元波をケルヴィン波といい、軸対称性や並進対称性を破る摂動を加えると2個のケルヴィン波が共鳴不安定を起こす。ハミルトン力学系のスペクトル理論によると、ケルヴィン波のエネルギーの符号が不安定化の鍵を握る。ラグランジュ変位を基本変数にとって撹乱を渦なしに限定することによって、波のエネルギーの一般的な表示を4通り得た。さらに、分散関係の周波数による微分と波のエネルギーとの間に成り立つ関係を証明した。その副産物として、波の非線形相互作用によって誘起される振幅について2次の平均流を計算できる。渦なし撹乱の定義を循環保存と関係づけることによって、擬運動量が平均流とストークスドリフトの和と等しく、円筒容器中では後者が消えるので、擬運動量と平均流が等しいことを証明した。これらを利用することによって、軸対称波と楕円変形波との共鳴のからのハミルトン的ホップ分岐の成長をあらわす弱非線形振幅方程式の係数を3次まであいまいさなく求めることができた。これらはハミルトンの正準方程式であり、4自由度系に対し第一積分が3個しかないので、解はカオス的振る舞いをする。また、左・右らせん波の定常共鳴からハミルトン的ピッチフォーク分岐を起こした波が、3,4角形波との三波相互作用よって2次不安定を起こすことを見出した。 歳差運動する回転流の短波長線形安定性をWKB法によって調べた。コリオリカが摂動を与える。基本流として平面回転流をとった。歳差回転角速度をある臨界値より大きくすると、波数の主回転軸方向成分が0を時間周期的にとるようになる。この瞬間ごとに撹乱振幅が異常増幅するという特異な振る舞いを発見した。さらに、渦度界面のラグランジュ的扱いによって、プラズマ中におけるトロイダル磁場をもつ軸対称渦輪の定常運動速度に対するホール効果を計算することに成功した。
|