研究課題/領域番号 |
21540392
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
本庄 春雄 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (00181545)
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研究分担者 |
坂口 英継 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90192591)
桂木 洋光 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (30346853)
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キーワード | 非平衡・非線形物理学 / 非平衡・開放系 / 形態形成 / 結晶成長 |
研究概要 |
過飽和度を変えて広範囲にわたった横枝群の画像解析を行い、成長が止まった横枝群の静的な統計力学的性質として、高さ分布と数密度分布を求めた。その結果、過飽和度に依存せずに、高さ分布は指数αが2.2のべき乗則を満たし、数密度分布も指数βが1.2のべき乗則を満たしていること初めて明らかにした。また、横枝なしDLA(Diffusion-Limited Aggregation)モデルやCML(Coupled Map Lattice)モデルの数値実験結果との比較では、これらの指数に微妙な違いが生じるが、その差異は横枝群で形成される包絡界面形態の違いに起因することを明らかにした。 横枝群の動的な統計力学的性質として、成長が止まった横枝群の高さ分布と成長がまだ継続しているアクティブな横枝群の高さ分布に関して、その時間的な振る舞いを詳細に解析した。その結果、最も長い横枝、横枝の平均長さ、止まった横枝分布とアクティブな横枝分布がクロスオーバーする長さはそれぞれ時間に対してべき乗則を満たすことを明らかにした。さらに、数密度分布関数がある種の動的スケーリング関数に従うことを初めて実験的に明らかにした。 アクティブな横枝の平均長とその平均間隔の時間変化を詳細に解析した。その結果、平均長は時間に対して指数δが0.86のべき乗則に従い、その関数は結果として横枝群が造る包絡界面形態を意味することを明らかにした。また、平均間隔は時間に対して指数εが1.22のべき乗則で増加し、このことが横枝の競合成長に起因することを明らかにした。さらに、これらの時間変化は結果として成長が止まる横枝分布と関連することからα=ε/δ+1の関係が成立することを示し、実測値からこの関係がほぼ成立することを明らかにした。
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