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2009 年度 実績報告書

動的障壁と量子局在:混合位相空間をもつハミルトン系における動力学理論

研究課題

研究課題/領域番号 21540394
研究機関首都大学東京

研究代表者

首藤 啓  首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (60206258)

研究分担者 田中 篤司  首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 助教 (20323264)
キーワード量子カオス / 古典カオス / 混合位相空間 / 動的局在 / カオス的トンネル / 遅い緩和 / ハミルトン系 / アンダーソン転移
研究概要

1. 多次元量子系における動的トンネル効果と動的局在
カオスの発生する非可積分系における動的局在現象と動的トンネル効果との関係について,(1)3次元結合振動子系における動的トンネル効果,(2)(ポテンシャル項,運動量項などに)解析性をもたない系における回折効果とトンネル効果,に焦点を当て解析を行った。(1)に関しては,2次元結合系と比較し,3次元系においては異常トンネル効果がより強調されて現れることを明らかにした。(2)に関しては,解析性の崩れた系においては,混合位相空間に見られる通常の動的トンネル効果とはその発生機構を異にする「回折効果」がトーラス・カオス間の過程に支配的になることを明らかにした。
2. 混合位相空間をもつハミルトン系の再帰時間分布
カオス軌道と準周期軌道とが混在する混合位相空間においては,両者の境界は一般に極めて複雑になり,その動的特性の解析には大きな困難を伴う。ここでは,カオス領域と準周期領域とが単純な境界で接する2次元区分線形写像系を選び,その詳細な解析を行った。まず,適当な記号力学を導入することにより,カオス領域と準周期領域との境界の構造を調べ,境界近傍に不安定周期軌道の系列が集積することを見出した。さらに,その集積する不安定周期軌道族の中には,導入された記号力学を基に分類される階層構造が隠れていることを見つけた。見出された階層構造をもとに,力学系のゼータ関数の条件収束性を議論した。一般に,軌道の相関関数の減衰率をはじめ,系の緩和過程に関わる種々の統計量は,力学系のゼータ関数から導出することができるが,ここでは,準周期領域近傍に滞在する軌道の生存確率分布を力学系のゼータ関数をもとに計算し,数値計算の結果と整合することを確認した。このことから,集積する不安定周期軌道の系列が,生存確率分布に現れる代数的な減衰の原因となっていることが明らかになつた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Accumulation of unstable periodic orbits and the stickiness in the two-dimensional piecewise linear map2009

    • 著者名/発表者名
      A.Akaishi, A.Shudo
    • 雑誌名

      Physical Review E 80

      ページ: 066221

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Recovery of chaotic tunneling due to destruction of dynamical localization by an external noise2009

    • 著者名/発表者名
      A.Ishikawa, A.Tanaka, A.Shudo
    • 雑誌名

      Physical Review E 80

      ページ: 046204

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Julia sets and chaotic tunneling I2009

    • 著者名/発表者名
      A.Shudo, Y.Ishii, K.S.Ikeda
    • 雑誌名

      Journal of Physics A 42

      ページ: 265101

    • 査読あり
  • [学会発表] Dynamical localization and dynamical tunneling2009

    • 著者名/発表者名
      A.Shudo
    • 学会等名
      International workshop on mircrocavities and their applications
    • 発表場所
      Soul National University
    • 年月日
      2009-08-24

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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