時間依存シュレーディンガー方程式を近似なしに直接解法によって解くことにより、強レーザー場によって生成された再散乱電子の空間分布を求めた。近年、この再散乱電子を用いて高強度のビーム実験を行う計画が提案されているが、そのために必要な空間分布のデータを提供するものである。また、この直接解法を水素分子イオンに適用することにより、クーロン爆発後の陽子の運動量分布を求め、実験値とのよき一致を得、3光子共鳴がピーク値を与える原因であることを突き止めた。10^<-18>秒短パルスレーザーと赤外光との組み合わせによって、ヘリウム原子を電離すると、電離確率がレーザー光と赤外光との間の時間差の関数として振動し、その原因がことなるパルス列間の電子による干渉であることが実験の論文で示されていたが、我々は精密計算を行うことにより、単パルスでも振動は起こり、干渉はFloquet状態を中間状態とする複数の経路の干渉によって起こること示した。互いに直交する振動磁場と静磁場が原子にかかるとそのエネルギー構造に新奇な特異性を示すことが摂動論によって提示されていたが、2次のゼーマン項までいれた計算ではどのようなことにながわかっていなかった。我々は開発した直接解法により、磁場が強い場合での振る舞いをはじめて解析することに成功した。これまでは時間依存シュレーディンガー方程式の直接解法を行ってきたが、時間に依存しないシュレーディンガー方程式にも同様の直解法を行う手法を開発し、多価イオンの二電子性再結合の解析を行った。Breit相互作用を取り込んだ相対論的な計算で実験値をよく説明できた。
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