本研究の目的は1次元の量子気体を生成する方法を開拓することであり、その生成手順として中性原子のリング状磁気光学トラップから出発し、リング状磁気トラップに移行、蒸発冷却の実施という順序で端がないぐるっとつながった1次元量子気体を生成することを目指す。 昨年度までの研究で実現された中性原子のリング状磁気光学トラップを用いて今年度は磁気トラップに移行するべく磁気トラップおよび真空槽の設計・準備を行なった。強い閉じ込めを実現するために磁芯を用いた磁気回路の設計が必要となる。もう一つの強い閉じ込めを実現する方法として超伝導リングを用いる方法の検討も共同研究で行ない実験の準備を進めている。 磁気トラップはスケール則から小さい径のリング状トラップを作ることが難しい。一方で量子現象の発現は小さいトラップを用いたほうが容易になるので、磁気トラップの代わりに動的双極子トラップを使うことの検討も行なった。動的双極子トラップは従来点状のトラップしか研究されていなかったがリング状のトラップも可能であることがわかったので今後はその実現も視野に入れて研究を進める。
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