研究課題/領域番号 |
21540408
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大澤 大輔 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助教 (90324681)
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研究分担者 |
戸崎 充男 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 准教授 (70207570)
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キーワード | 原子・分子物理 / 二次電子放出 / Fermi-Shuttle加速 / マイクロドジメトリ / トラック構造解析 |
研究概要 |
本研究は水蒸気へのブラッグピーク領域の炭素線衝撃による二次電子生成二重微分断面積を測定し、イオン-原子分子衝突における新奇現象の1つであるFermi-Shuttle加速の解明を目的とする。さらに得られた断面積を用いて水中への炭素線入射におけるトラック構造をモンテカルロ法で解析しFermi-Shuttle加速のトラック構造への影響評価も行う。実験は放医研930AVFサイクロトロンにより加速された6.0~15.0MeV/u C^<6+>ビームを用い、初年度は(1)平行平板静電型電子線分析器の耐電圧向上、(2)散乱二次電子抑制の2つの装置改造と改造効果確認のための予備実験を行った。(1)Fermi-Shuttle加速は高エネルギー二次電子の高精度測定が必須であり、その際に問題となる分析器周辺の放電を抑えるため、極板間のセラミック絶縁を高電庄対応の碍子に替えて沿面放電を食い止め、極板に二次電子放出の少ないNi板(300μmt)を用い、スリット部(5x10mm^2)にエレクトロフォーミングでメッシュ加工し張り出しのない構造とし耐電圧を向上させた。(2)過去のHe^<2+>入射実験では高エネルギー二次電子が分析器の出口スリット等に当たって発生する散乱電子が含まれている可能性がある。そのため分析器-MCP間に設置してある銅製コリメータのカーボンマスク化とコリメータ最上段へのサプレッサ電圧印加の2つの改造を行い、この寄与を低減させた。改造後、マスフロー流量に対する二次電子計数の直線性を確認したところ、15sccm以下で直線性が確認でき、最終的に5keV以上の高エネルギー二次電子は直線性が保持された10sccmで測定すべきとの結論を得た。来年度は二次電子エネルギー1eV~10KeV、放出角度20~160°にわたる広範囲な二次電子生成二重微分断面積データの取得を目指す。
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