研究概要 |
本年度は量子プロセスの感度解析に関する下記の成果が得られた. 1. ブリスベン大学のPryde教授との共同して,5および6光子状態に関する彼らの実験データから多光子状態の位相感度の評価を行った.理論解析の結果,彼らの多光子干渉パターンの位相感度が,多光子同時計測における過去最高であることが示された. 2. 光子数Nの2乗で決まるハイゼンベルグ限界に近い位相感度を持つN光子量子状態において,光子損失がもたらす影響を調べた.光子損失によるフィッシャー情報量の減少は,入力光子数に係わらず,失われた平均光子数に依存するというユニバーサルな依存性を持つことを見出した. 3. 非線形光量子ゲートを評価する手法を開発し,入力パルス形状の最適化に適用した.線形出力モードと直交するパルスモードへの非線形変換が最も高効率な量子過程であることを見出した.離調を利用したノイズの抑制に関する詳細な解析が進行中である. 4. 現実的な実験における有限の空間分解能を考慮した,空間qutritに対する量子トモグラフィーのより信頼性のある方法を開発した.実験セットアップにおける設定誤差の影響を解析し,異なる誤差要因に対する感度を見積もった. 5. 量子トモグラフィーの手法を弱い量子測定の測定結果解析に適用した,弱い量子測定が初期及び終状態によって決定される量子統計によって記述されることを示した.この手法はフィッシャー情報量における弱い量子測定の感度の解析にも適用できる.
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