平成23年度は量子プロセスの感度の解析に関する下記の成果が得られた. 1.干渉を利用することによって、弱い量子測定を実現する新しい実験的方法を確立した。新しい実験セットアップは、量子パラドックスを研究するためにかなり適したもので、量子情報プロセスの有利性やそれらの物理的起源を明らかにするために役に立つ可能性が高い。 2.不確定性と位相感度の間の関係が詳細に研究された。弱い量子測定の統計は、小さな位相シフトのデータしか利用可能でなくても、大きな位相シフトの効果を評価するのに使えることが分かった。位相推定量と弱い量子測定値を結びつけて、一つの複素数とすることによって、量子力学的波動関数のコヒーレンスが実験的に得られ、他の実験の出力結果も予想できる。この方法を用いることで、量子状態が含む情報が測定の小さな組み合わせで整理することができ、さらにこの状態の感度は、複素数を用いた統計的な相関によって表現することができる。 3.短い時間の参照光パルスを使うと二光子干渉が起こることに基づいて、エンタングル光子対の時間分解測定のための新しい方法を開発した。この方法を用いた実験的結果の評価のために、短い時間のエンタングルメントに対する新しい基準を導入した。時間についてのエンタングルメントの連続的な特性が、二つの異なった検出時間の間で観測されるエンタングルメントを使って、定義される。エンタングルメントが観測される最も短い時間差は、エンタングルメントの特性時間尺度となる。
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