研究課題/領域番号 |
21540410
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
森 弘之 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (60220018)
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キーワード | 原子気体 / ボーズ・フェルミ混合系 / モット転移 / 光学格子 / 量子モンテカルロシミュレーション / 内部構造 |
研究概要 |
解析手法および数値手法の開発を基礎とした、光学格子上に閉じ込められたボーズ・フェルミ混合原子系が示す局在状態の成立条件の解析を行った。とくに混合系に特徴的な現象に注目し、その発生原因についてくわしい解析を目指した。 とくに、光学格子上の混合原子系に特化した数値手法を開発する目的でこれまで開発してきた効率をよいシミュレーションコードを利用し、ランダムポテンシャルや準周期ポテンシャル中でボーズ・フェルミ混合系が示す特徴的な振る舞いについて詳細な解析を行った。見いだした主な特徴は以下の通りである。 ・ランダムポテンシャルでも準周期ポテンシャルでも同様の局在現象が見られた。ただしボーズ粒子とフェルミ粒子の間の相互作用の符号および大きさによって定性的に大きく異なる振る舞いが発見された。 ・ボーズ粒子とフェルミ粒子の間に斥力相互作用が作用する場合、非局在化現象が見られた。互いの存在により深いポテンシャルから抜け出ることができるためと考えられる。 ・ボーズ粒子とフェルミ粒子の間に引力相互作用が作用する場合、引力が強いほど局在が進む。これは、フェルミオンの存在がポテンシャルを実効的に深くするためである。しかし特別な条件が整う環境では、ある強さの引力により非局在化が見られることがわかった。この条件を詳細に検討し、引力領域での非局在化の原因を明らかにした。この非局在化はこれまで指摘されたことのない新たな現象であり、原因も含めて明らかにできたことは高く評価されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに目的に沿った研究が順調に進んでいる。シミュレーションコードの完成にやや手間取ったので、計画以上の進展とは言えないが、予定通りの流れで進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析はほぼ予定通りであるが、一部に予想していなかった現象の発見もあり、その解析に計画にない時間を割きたいと考えている。ただしその方向性はすでに定めてあり、H24年度には解析は終了すると考えている。 そのほかの課題については、計画に沿って解析を進めていく予定である。シミュレーションコードのさらなる効率化も行い、より大きな系で精度の高い計算を行いたい。
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