研究概要 |
TDGP+Vlasov法を用いて、極低温原子気体を用いたボース・フェルミ(BF)混合系の時間発展を直接計算し、その集団運動についての理論的研究を行った。研究対象として、京都大学の実験グループで実現したYb同位体の中から,^<170>Yb-^<171>Yb,^<170>Y-^<173>Yb,^<174>Yb-^<173>Ybの3種類のBF混合系を選択した。これは、それぞれの系のボソン・フェルミオン間力が、弱い斥力、強い引力、強い斥力となっており相互作用の違いの比較が可能だからである。 その上で、球対称形で四重極振動の計算を実行、従来多く用いられていた線形応答理論に基づくRPAの結果と比較した。その結果、ボソンーフェルミオン間力が弱いとき時間発展を直接説く方法とRPA法の結果は一致するが、相互作用が強くなると二つの方法に大きな差が生じることを示した。特に、強い引力の場合にフェルミ気体が急激に膨張し、このため初期状態では含まれていない単極子振動モードが発生し、これが線形応答では記述できない原因であることを示すことが出来た。 また同様の計算を、実験で設定されている異方性の大きな葉巻型トラップに拡張し、息吹振動の研究を行い球対称形のものと同様の結論を得た。このような異方性の大きな系ではRPAを適応させることが難しく、今までほとんど理論解析が行なわれてこなかった。 上記の研究とは別に、一様無限系での双極子分子気体の基底状態の計算を行い、分子間の相互作用が強くなると系全体が不安定になることを示した。
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