本年度は、2年目・3年目で実施予定の本格的な計測に向け、計測装置(SPIDER)の整備・立ち上げと比較的計測の容易なエネルギー透過率・ビーム形状等を中心とした予備調査的な計測を実施した。まず、計測器(SEA-SPIDER)の立ち上げについては、装置設計と装置部品の調達を終え、(2年目の)現在レーザー光を用いた装置の立ち上げと解析プログラム開発を中心に進めている。この開発については、2年目後半から実施予定の本格計測に向け2年目の前半中に開発を終える予定で進捗中である。一方、予備調査については、実際のレーザー電子加速実験に並行する形で透過率計測を行った。その結果、約50~70%のスループットが得られることがわかった。さらに、プラズマ密度の上昇に対しビームパターンが徐々にリング状に変化するなどの現象も観測している。より詳細に調査するためには、年度後半から実施予定の位相・波面などの細かな計測が必要なものの、基礎データ収集を行う上で有用なデータ収集を実施することができた。 この実験の過程で、旧来アルゴンガスターゲットにおいて、約10MeV程度の電子線のピークエネルギーだったものを、窒素ガスターゲットを用いパラメーター最適化を実施したことで、3テラワット級レーザーとしては世界最高の60MeV近いピークエネルギーを持つ準単色構造の電子ビームが発生可能であることを明らかにすることができた。2年目では、このような条件における透過光の特性調査も進める予定である。
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