研究課題
ガラス転移は動的転移だろうか、それとも背後に熱力学的相転移が隠れているのだろうか?また、スピングラス転移や、粉体系における類似の凍結現象、いわゆるジャミング転移との関係はあるのか?この転移が何らかの相転移として理解できるならば、まず平均場的な描像がありそうなものである。しかし、ガラス転移研究においてはそれはまだ確立していない。現在のガラス転移の平均場描像は、熱力学的にはレプリカ液体理論、そしてそのダイナミクス版としてモード結合理論が候補として考えられている。この二つの理論は、ランドスケープ描像により密接に関係づけられていると予想されているが、その定量的な検証はまだない。また、モード結合理論の解析から、上部臨界次元が8であることも予言されている。これらの予想を検証するために、我々はシミュレーションと数値解析を用いた、ガラスの次元性の問題を研究を行った。まず、4次元剛体球液体のガラス転移をシミュレーションにより解析し、その結果をモード結合理論の結果と比較した。その結果、4次元系が、今まで調べられているいかなるガラス系よりも、モード結合理論との一致が良いことがわかった。また、さらに高次元で、レプリカ理論とモード結合理論の解析を行い、予想されてきた理論の整合性を詳細に調べた。高次元を調べる理由は、両理論で不可欠な液体論特有のAd hocな近似による曖昧さに惑わされることなく、理論の構造を抽出できるからである。結果は驚くべきもので、モード結合理論が高次元で破綻すること、すなわち平均場理論と成りえないことがわかった。2-4次元では、むしろモード結合理論が定量的に優れた理論であることを考えると、極めて興味深い。
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Journal of Rhologye 54
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Nature 462
ページ: 83-86
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http://www.px.tsukuba.ac.jp/home/tcm/miyazaki/publication-j.html