研究課題/領域番号 |
21540417
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 正明 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (10253395)
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研究分担者 |
加藤 晃一 名古屋立大学, 薬学研究科, 教授 (20211849)
森本 幸生 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (80200450)
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キーワード | タンパク質高次構造 / サブユニット交換 / 中性子小角散乱 |
研究概要 |
今年度は、「タンパク質サブユニットの交換」というダイナミクスの存在を証明するための実験的研究を精力的に行った。そのために、タンパク質の代謝において重要な役割を担っている20Sプロテアソームに注目した。20Sプロテアソームは、それぞれ異なる7つのサブユニットから成るαリング・βリングがαββαの順に会合した14種類・合計28個のサブユニットから構成される巨大複合タンパク質である。このうちαリングを形成するサブユニットの1つである「α7」は、単独でαリングに相同な7回回転対称体を自律的に作り、更に、この7回回転対称体が2つ結合した中間会合体を形成する。申請者らの想定するサブユニットの交換のダイナミクスはこの場合「α7リング内のサブユニットが他のα7リング内のサブユニットと水溶液中で交換する」と言うものである。このような動的機構が存在しても通常の手法では測定することができない(交換の前後で、見かけ上、何も構造に変化が起こっていない)そこで、申請者らは、重水素化したα7リングを用意し、通常のα7リング(軽水素で構成されている)の水溶液と混合した。この時、中性子小角散乱法を用いて構造測定を行うと、中性子から見たら重水素と軽水素は全く異なる散乱体であるため、申請者らのシミュレーションよれば、サブユニットの交換が起これば、それは散乱データに明瞭に現れることが予測されている。実験結果は、軽水素体・重水素体のα7リング水溶液の混合により、散乱データに明瞭な変化が現れ、サブユニットの交換機構の存在を証明することができた。
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