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2011 年度 実績報告書

ダイラタント流体のレオロジー

研究課題

研究課題/領域番号 21540418
研究機関九州大学

研究代表者

中西 秀  九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90155771)

キーワードダイラタント流体 / ずり粘化 / レオロジー / ずり粘化振動
研究概要

ダイラタント流体のレオロジーを明らかにするために、現象論的流体力学を構成し、単純な流れ場における数値シミュレーションを行ってその性質を調べた。また、その結果を確認するための実験を計画し、研究協力者と共同で実験を行った。
ダイラタント流体とは濃厚な粉体-液体混合系で、外部からの応力に対して不連続かつ瞬間的に非常に大きなずり粘化を示す媒質で、そのミクロなメカニズムは未だ理解されていない。
本研究では、通常の流体力学変数に加えて、粉体粒子の局所的分散状態を記述する現象論的場の変数φを導入し、流体力学を構成した。定常状態での状態変数の値が局所的粘性ストレスによって与えられるとすることにより、実験的に観測されている、不連続なずり粘化を示すストレス-ずり速度曲線や、ずり速度を変化させた場合の履歴効果を現象論的に表現できることを示した。また、状態変数方程式において、通常仮定されるような緩和時間一定の緩和ではなく、ずり速度に比例する緩和率を仮定した。これは、状態の変化が媒質の変形によって駆動される場合に対応し、これによって、外部からの劇力に対し粘化が瞬間的に起こりほとんど変形を許さないという、ダイラタント流体に特異な性質を表現できることを示した。この系を単純な流れ場で数値シミュレーションすることにより、ずり速度がある条件を満たす場合に一様流が不安定化し、急激なずり粘化と緩和を繰り返す振動流(ずり粘化振動)が生じることを、理論的に予測した。ずり粘化流体についてこのような振動状態を指摘したのは本研究が初めてである。
実験的には、これまでこのような明確な振動現象は観測されていなかった。そのため、研究協力者と共同で実験を計画した。その結果、予測したパラメタ領域において明確な振動が観測された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Fluid dynamics of dilatant fluids2012

    • 著者名/発表者名
      H.Nakanishi, et al
    • 雑誌名

      Phys.Rev.E

      巻: 85 ページ: 011401-1-11

    • DOI

      10.1103/PhysRevE.85.011401

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Granular flow : Dry and wet2012

    • 著者名/発表者名
      N.Mitarai, H.Nakanishi
    • 雑誌名

      Eur.Phys.J.Special Topics

      巻: 204 ページ: 5-17

    • DOI

      10.1140/epjst/e2012-01548-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Shear Thickening Oscillation in a Dilatant Fluid2011

    • 著者名/発表者名
      H.Nakanishi, N.Mitarai
    • 雑誌名

      J.Phys.Soc.Jpn.

      巻: 80 ページ: 033801-1-4

    • DOI

      10.1143/JPSJ.80.033801

    • 査読あり
  • [学会発表] Fluid dynamics of dilatant fluids2012

    • 著者名/発表者名
      Hiizu Nakanishi
    • 学会等名
      "Phase Transition Dynamics in Soft Matter : Bridging Microscale and Mesoscale
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2012-02-21
  • [学会発表] ダイラタント流体モデルの2次元シミュレーション2011

    • 著者名/発表者名
      永弘進一郎
    • 学会等名
      日本物理学会 2011年秋季大会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      2011-09-24
  • [学会発表] ダイラタント流体の数値シミュレーション2011

    • 著者名/発表者名
      永弘進一郎
    • 学会等名
      ソフトマター研究会
    • 発表場所
      キャンパスプラザ京都
    • 年月日
      2011-08-03
  • [備考]

    • URL

      http://www.stat.phys.kyushu-u.ac.jp/~nakanisi/Physics/Dilatancy/

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公開日: 2013-06-26  

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