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2009 年度 実績報告書

制限された空間内の水:ミクロからマクロへ

研究課題

研究課題/領域番号 21540421
研究機関首都大学東京

研究代表者

真庭 豊  首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (70173937)

キーワード水 / カーボンナノチューブ / アイスナノチューブ / 誘電体 / 分子動力学計算 / ナノ構造
研究概要

水は、ありふれた物質であるが、沸点が高い、4℃で密度が最大になる、比熱が大きいなどの多数の異常な性質を示す。水はまた、生体内、岩石、地殻、ツンドラ地帯の土壌中にも存在し、その性質に重大な影響を与えている。惑星や彗星等、宇宙空間にも水は存在する。これらの水の一部は極微小の領域に存在する。本研究では、小さな空間に閉じ込められた水の性質、特に、分子2、3個程度の原子・分子スケールからバルク水につながる、水の性質の空間サイズ依存性を明らかにすることが目的である。
本研究では、直径が1~3ナノメートルのカーボンナノチューブ(CNT)を用いて、その疎水的ナノ空洞内への水の吸着と相転移挙動を、X線回折、核磁気共鳴、分子動力学計算などの手法を用いて調べている。従来の研究では、直径が1.1~1.4nmのCNTの空洞内部に水は容易に吸着され、吸着された水は低温で液体-固体様の相転移挙動を示し、低温相がアイスナノチューブ(ice NT)となること、さらにice NTの融点がCNTの直径が大きくなるほど低下すること、などを明らかにしている。一方、~2nm以上のCNT内部の水は、CNT直径に反比例するような、相転移様挙動線を示し、原子・分子領域から、バルク領域へのクロスオーバー現象を示唆している。本年度は、このクロスオーバー領域の水の構造を分子動力学計算とX線回折実験により詳細に調べ、(1)この領域では、CNTの有限長効果のため、吸着量に依存して、形成される水の構造が変化し得ること、(2)バルク領域側で見られる相転移線は、細い領域の液体-固体様相転移とは異なっている可能性があること、などが示された。また、(3)ice NTが自発分極を有する強誘電性を示し、外部電場によって電気分極をステップ状に変化可能であることなどを、計算機シミュレーションの手法により予測した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Dielectric Properties of Water inside Single-Walled Carbon Nanotubes2009

    • 著者名/発表者名
      F.Mikami, K.Matsuda, H.Kataura, Y.Maniwa
    • 雑誌名

      ACS nano. 3

      ページ: 1279-1287

    • 査読あり
  • [学会発表] Ferroelectric Water Inside Single-Walled Carbon Nanotubes2009

    • 著者名/発表者名
      Y.Maniwa
    • 学会等名
      2009 AIChE Annual Meeting
    • 発表場所
      Nashville
    • 年月日
      2009-11-13
  • [学会発表] 太い単層カーボンナノチューブに内包された水分子の相転移2009

    • 著者名/発表者名
      八尋瞳, ほか
    • 学会等名
      日本物理学会2009年秋季大会
    • 発表場所
      熊本(熊本大学黒髪キャンパス)
    • 年月日
      2009-09-26
  • [学会発表] 太いSWCNT内の水の相転移2009

    • 著者名/発表者名
      松田和之, ほか
    • 学会等名
      フラーレン・ナノチューブ総合シンポジウム
    • 発表場所
      つくば(つくば国際会議場)
    • 年月日
      2009-09-02

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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