研究概要 |
当初予定していた研究内容は、 1.結果の物理的理解を得るための研究(具体的には、不均質構造に造構応力を加えたとき,内部にどのような応力場が生じるかを物理的に理解すること)、2.応用研究(具体的なフィールドへの応用)、3.研究成果の公表、の3点であった。 このうち1.については、傾斜した平面境界に凸部があり深い側の弾性常数が高ければ、凸部はアスペリティとして作用することを発見した。この単純構造は中越地震震源域の中越地域の地下構造を単純化してものである。2.として、上記地域の詳細な3D構造を用いて同様の数値実験を行って、このことは確かめられた。このことは地震の発生過程が構造から推定可能であることを示唆しており非常に重要であると考え、この問題を深く追求した。3D構造に造構応力を加え、静岩圧を加え、静摩擦係数、動摩擦係数を仮定すると、想定断層面上で応力分布から応力降下量分布、強度分布の推定が可能となる。ただし造構応力の絶対値、静摩擦係数、動摩擦係数の値はわかっていないのでこれらを未知数として、グリッドサーチを行った。その結果、妥当な値の時に中越地震が発生可能であることがわかった。この分布と実際に発生した震源過程を比較することから絶対応力値についても推定することができた。またこの際、地中に含まれる水の封圧についても情報を得ることが出来た。これらについては、地震学会、米国地球物理連合秋季大会で発表した。
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