研究概要 |
干渉合成開口レーダー(InSAR)は様々な地殻変動の解析に用いられている.特に面的な地殻変動を捉えるには最も有効な手法である,本研究は,国内で最も活発な火山の一つである諏訪之瀬島において,InSARを用いて地殻変動を捉え,活発な火山活動の源となるマグマの上昇過程を明らかにすることを目標としている.特に,人工永久散乱体を諏訪之瀬島に設置し,Permanent Scatterer InSAR(PS-InSAR)という精度の良い解析手法を応用して,精度良い地殻変動を捉えようとしている.そのため,平成21年度は,人工永久散乱体を8基作成し,諏訪之瀬島の山頂部及び周辺部に設置した.解析するデータはJAXAが打ち上げた人工衛星ALOSのデータを用いるが,取得データ数は,約8枚/年である。PS-InSAR解析に十分な画像の数が20であるため,それぞれ24枚の画像が利用できる本研究の最終年度(平成23年度)には,結果が出ると期待される.一方,今年度は,InSARの精度良い時系列解析法である短基長線ペアの干渉画像を用いる時系列解析法(SBAS法)を用いた解析手法の整備を行い,2007年のデータに応用した.その結果,活発な火山活動を行いながらも,1cm程度の精度で地殻変動が無かったことが明らかとなった.これは,この時期にはマグマの上昇が無く山頂直下に存在しているマグマが噴火活動を起こしていた,マグマが地殻変動を伴わずに上昇していた,等のモデルが考えられることを意味しており,火山噴火過程を考える上で重要な結果となっている.
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