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2011 年度 実績報告書

大気中の地震波伝播における東西風の影響

研究課題

研究課題/領域番号 21540433
研究機関独立行政法人宇宙航空研究開発機構

研究代表者

小林 直樹  独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (30272660)

キーワードモード計算 / 地震波 / 東西風 / 音波 / カップリング
研究概要

近年,大地震に伴って発生した地震音波を観測したという報告がなされている.そうした地震音波は大気中を伝搬するが,大気中の風の影響を受けて観測点への到着に遅延が生じたり波形が歪んだりする.この影響を調べるのが本研究課題の目的である.22年度に計算上必要となる励起係数の定式化の改善をおこなった.23年度は励起係数の定式化を用い2008年の岩手・宮城岩手内陸地震,2011年3月に起きた東北地方太平洋沖地震による音波の計算をおこなった.2008年の岩手・宮城内陸地震の際には400kmほど離れた夷隅にあるCTBTの観測点で顕著な長周期音波が観測された.この音波波形を再現するために周期10秒以上の音波モードを約百万個計算し,モードの重ね合わせ法によって大気中を伝わる音波波形を計算した.その波形のうち30秒以上の長周期成分に対して観測波形と比較し,音波を使った震源パラメーターの推定も行なった.音波の励起は深さに対して顕著な依存性を持つため,音波を利用すると浅い震源に対するメカニズムの制約に利用できる,震源域を9つに分割し,破壊の伝播に伴いそれぞれの分割領域のモーメント解放による音波の励起を重ね合わせた.無風大気で行なった計算結果は9秒ほどの到着時刻の遅延を除き観測波形と非常に良い一致を示した.この遅延は平均風速17m/sの風の影響で説明できる,帯状風のモードに与える影響は第一近似としては風速による伝播時刻のずれとして現れるが,観測と理論計算によってその効果を確認した.この成果はJournal of Geophysical Research誌に投稿した.また,2011年3月に東北地方,北関東を襲った大地震が発生した.この大地震は海溝付近に大きな変位を残し,大津波を発生させた.この地震に対し,気象庁のセントロイド解を与え音波の励起を見積もった.得られた結果は観測された気圧変動より有意に大きな気圧変動を示した.観測振幅を説明するには与えたセントロイドの深さより20km深い震源が必要であり,音波の観点ではやや深い地震であることが分った.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Synthesis of atmospheric disturbances generated by the Great March 2011 Tohoku-Oki Earthquake2011

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, N
    • 学会等名
      AGU Fall meeting
    • 発表場所
      San Francisco, California, USA
    • 年月日
      2011-12-09
  • [学会発表] 2011年東北地方太平洋沖地震で励起された大気擾乱の計算2011

    • 著者名/発表者名
      小林直樹
    • 学会等名
      日本地震学会秋季大会
    • 発表場所
      静岡県コンベンションアーツセンター・グランシップ
    • 年月日
      2011-10-14
  • [学会発表] Fault Parameter Estimation with Data Assimilation on Infrasound Variations Due to Big Earthquakes2011

    • 著者名/発表者名
      H.Nagao, N.Kobayashi, S.Nakano, T.Higuchi
    • 学会等名
      Fusion 2011
    • 発表場所
      Chicago, Illinois, USA
    • 年月日
      2011-07-06
  • [学会発表] 放射境界条件の地震音波の励起と伝播2011

    • 著者名/発表者名
      小林直樹
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2011年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場
    • 年月日
      2011-05-23

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公開日: 2013-06-26  

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