研究概要 |
コンドリュールは隕石の主要構成要素であり,原始太陽系星雲において惑星よりも先に形成されたと考えられているシリケイト球粒である。いっぽう宇宙塵は,地球大気中での流星現象で形成されるシリケイト球粒である。両者には類似点が多い。どちらも,シリケイト組成の固体粒子が溶融・再固化してできた1mm程度以下の球状粒子である。しかし相違点もある。本研究では両者を比較しながらコンドリュールの溶融・再固化過程の詳細を明らかにし,もってその形成過程の理解を質的に大きく前進させることを目指す。コンドリュールの形成過程を考える際に,宇宙塵との比較の視点を導入する点が本研究の特徴である。本年度は3年計画の2年目にあたり,前年度に引き続き,以下を実施した。 (1)数値計算コードの改良(ステップ[c]) ステップ[a][b]で開発した数値モデル・数値計算コードを改良し,さらに高精度のシミュレーションをできるようにした。これにより,天然のコンドリュールや宇宙塵との,より詳細な比較を行うことができるようになった。 (2)天然コンドリュールとの比較(ステップ[d]) ステップ[a][b]で得られた新しいガス摩擦加熱モデルをコンドリュール形成問題に適用し,天然のコンドリュールとの比較を行った。はじめは中小規模の計算結果を用い,ステップ[c]の作業が完了した後は,大規模計算を用いて詳細な比較を行い、この作業により,ステップ[a][b]で開発した新しいガス摩擦加熱モデルを単純に応用するだけでコンドリュール形成を説明し得るかどうかを検証した([目標3]の達成)。
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