ホットプレート、フラスコおよびガラス管からなる間欠泉の室内実験を実施し、フラスコでの沸騰開始から噴火にいたる一連の過程での、振動周期を、圧力計によりデータ収集し、スペクトル解析を行った。その結果、噴出の終りから次の噴出に向けて、特徴的周波数は、およそ15Hzから1Hzに向けて、時間とともに単調に減少することが分かった。また、噴出直前には、振動が歴されにくい時期が存在することが分かった。振動の励起源は、サブクール沸騰状態でフラスコの底で発生した気泡が、浮上し崩壊する際に発生する圧力である可能性が観察から示唆された。また、ホットプレートからフラスコへの熱伝達率が減少するとともに、噴出様式が、爆発型と非爆発型に遷移することが分かった。さらに、爆発型が卓越する場合には、噴出周期と噴出量の統計分布が分散の小さいガウス型であるのに対し、非爆発型が卓越する場合には、分散が大きくなり、ホワイトノイズに近くなることが分かった。 特徴的周波数の時間変化は、本研究課題で提案している微動方程式の解の性質に基づいて、おおよそ以下のように解釈できることが分かった。フラスコからの熱の供給が進み沸騰が進行するとともに、フラスコ内の水が飽和状態に近づき、フラスコの底で発生した気泡の生存時間が増加する。結果として、フラスコ内での競うの体積分率が時間とともに増加し、それに伴い、フラスコ+沸騰水系の実効的体積弾性率が単調に小さくなる。その結果、系の固有振動数が、時間と伴に単調に減少する結果となる。また、噴出直前に振動が励起されにくくなる現象は、気相の体積分率の増加に伴い、振動方程式の解が、減衰振動から過減衰の領域に変化したためであると考えられる。
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