1)圧力パルスの発生の仕組み:圧力変化と同期した高速カメラの観察結果から、圧力パルスの振幅と継続時間は、核沸騰によって生成した気泡のサイズと生存時間に、それぞれ対応していることがわかった。 2)Reighlay-Plesset (RP)方程式とのカップリング:微動方程式の励起項である気相体積変化を、RP方程式で記述される気泡半径変化から計算される気泡体積と等しいとして、気泡振動と微動方程式のカップリングを計算した結果、圧力源としての過剰圧気泡が流体系振動を励起する効率は過剰圧とカップリングファクターに左右されることがわかった。3)フラスコの形状・サイズと共鳴振動数は今後の課題として残された。4)圧力パルスと圧力振動の同期の問題:気泡の周期的発生が、ある特徴的周期を持って起こり、その特徴的周期は、水の温度とともに長くなることがわかった。この気泡の発生周期は、系の流体振動よりも短い周期で起こり、それらが分離していることがわかった。また、過熱度が大きくなり噴出のトリガーに近付くと、系の流体振動が卓越して励起されるようになることがわかった。気泡の振動が系の流体振動を励起する効率を決めるカップリングファクターは、流体中での気相(水蒸気)の体積分率が大きくなるほど大きくなり、そのため、過熱が進むにつれて、気泡の周期的発生モードから、系の流体振動モードに移行したことが考えられる。5)微動方程式の火山噴火への応用:気泡の周期的発生に伴う、圧力変動は、倍モードの振動数を持ったハーモニック微動の様な三角波を励起する。これは、ある種の火山性微動の特徴とよく似ており、天然においても、同様のメカニズムが働いていることを示唆する。
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