研究概要 |
阿蘇火砕流の古地磁気強度測定についてほぼ完了した。特に、火山ガラスを用いたLTD-DHTショー法による古地磁気強度測定の成功は特筆すべきものである。岩石磁気測定は、ガラス部分の磁性鉱物が、他の部分の磁性鉱物よりも化学組成・粒径がより一様であることを示した。得られた古地磁気強度はAso-1,2,3,4、それぞれ19.5±3.3,20.3±2.2,27.7±4.9,36.5±9.2μTであった。また、結晶質部分のLTD-DHTショー法とガラス部分との比較から、低保持力部分のデータの方が一様な古地磁気強度を与え、ガラス質部分との一致も良いと言う興味深い結果が得られた。そちらから得られた古地磁気強度は、それぞれ、20.9±4.6,23.9±2.6,30.3±8.3,33.5±5.4μTで、全体の平均を取ると、20.6±4.3,22.7±3.0,29.7±7.9,34.1±6.3μTとなった。この結果から、既報告のテリエ法の結果の評価と理解が進み、異なるサイト・異なる材料・異なる実験法での比較が、信頼度の高い結果を与えることが分かった。古地磁気強度研究に於いて、方位研究に於ける野外テストに対応するものを提案できたと考えている。 これを、Cannell eta al.,2009による相対古地磁気強度曲線PISO-1500とそれぞれのテフラの酸素同位体ステージで対比して比較すると、PISO-1500は全体に強すぎる値を示していることがわかり、本研究の結果を用いてリキャリブレーションの必要が指摘される。 この結果について、現在論文を準備中で、来年度中の出版を目指している。
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