上町断層周辺の3次元断層形成過程のモデル化を実施した。最近の観測により、紀伊半島中部地域で、地温勾配が高くなっていることが明らかになっている。従って、地温勾配が高い領域の地殻深部で短縮変形が生じ、上部地殻に応力が集中している可能性がある。本研究では、観測から得られた地温勾配を基に温度構造を設定し、3次元的な断層形成及び応力蓄積過程のモデル化を行った。シミュレーションの結果、上町断層周辺で応力が集中し、断層が形成されることが示された。また、中部日本における地形形成のモデルを高精度化した。防災科研の観測井の地温勾配のデータに基づき温度構造を与えて流動則のパラメター分布を設定し、短縮変形を与えることで断層形成と地形形成を有限要素法で再現する。要素数は200万要素程度にして、高精度のシミュレーションを行った。これにより、地温勾配が高い領域で顕著な隆起が生じることが示されたが、実際の地形とある程度相関があることが示された。
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