研究概要 |
平成23年度は,1)2010年9月に新潟県長岡市の海岸部で実施した雪上車実験で得られたデータの解析,2)2011年1~2月に南極氷床沿岸域のS16から1000km内陸に位置するドームふじ基地までの観測ルート上で実施した雪上車と橇の加速度データの解析,3)2012年3月に北見で実施した雪上を進行する小型権の姿勢データと加速度データの解析,を実施した。 1)の計測データからは,雪上車の上下方向加速度は一般乗用車の値よりも,二乗平均平方根で最大1桁大きく,その周波数は1~50Hzに三つのピークがあることがわかった。これらの特徴は雪上車が履帯(いわゆる「キャタピラ」)を使って移動しているためであると考えられる。 2)の計測データからは,雪上車が牽引する橇にかかる上下方向加速度は沿岸域では小さく,沿岸域から250kmに位置するみずほ基地周辺では大きく,それよりも内陸域になると再び小さくなることがわかった。これは雪上車が進行する雪面の起伏度(いわゆる「でこぼこ」)の大小を反映している事がわかった。また,雪上車が雪面起伏の大きな「サスツルギ帯」を走行した時に橇にかかった最大の上下方向加速度は5.2Gであることもわかった。これらの観測データは南極氷床上で初めて計測された結果である。 3)の計測データからは,小型橇での鉛直方向加速度を2回積分し,復元した変位量のパワースペクトルを求め,ある閾値以上の低周波成分を除去することにより,もともとの雪面起伏が推定できる可能性があることがわかった。これは橇にかかる鉛直方向の加速度データから,橇が進行する雪面の起伏状態を復元するための基礎的な方法論を検討したことになる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに実施した以下の観測結果について,データ解析をさらに進め,論文刊行を進めていく。 1)2010年9月に新潟県長岡市の海岸部で実施した雪上車実験,2)2011年1~2,月に南極氷床沿岸域のS16から1000km内陸に位置するドームふじ基地までの観測ルート上で実施した雪上車と橇の加速度データ,3)2012年3月に北見で実施した雪上を進行する小型橇の姿勢データと加速度データ
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