| 研究概要 |
平成22年度は,非線形Schroedinger方程式に代表される弱非線形な包絡方程式ではなく,水面波の基礎方程式そのものに基づいて,強非線形な定常進行波群解を求める方法論を確立し,それに基づいて実際に解を求めることに成功した.
また併せて,広帯域を有する非線形不規則波動場(波動乱流)を対象とした研究も進め,従来知られていなかった新しい知見を得ることができた.例えば各成分波のエネルギー揺らぎがカイ2乗分布に従うこと,またその時間微分がラプラス分布に従うことなどを見出し,後者についてはそれに対する理論的な説明付けにも成功した.これらの成果については一流国際誌Physica Dや京都大学数理解析研究所講究録などに発表している.
最終年度であるH23年度はこれらの成果を踏まえ,強非線形波群解そのもののさまざまな性質に関するさらなる解析に加え,それが不規則波動場を伝播する際の伝播特性,大振幅波の発生メカニズムや出現確率の解析などに精力的に取り組んで行きたいと考えている.
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