研究課題
熱と物質の鉛直輸送に寄与する重要なプロセスである大気乱流とその一主要因であるケルビン・ヘルムホルツ不安定(KHI)の観測的研究を行った。9月にスケールが極めて小さいKHIを滋賀県甲賀市信楽町の信楽剛観測所(34.85°N,136.10°E)のMUレーダーの周波数イメージングモードによる超高分解能観測を実施し、特に、自由大気中におけるKHIや乱流の構造をかつてない高分解能観測で捉えることに成功した。田レーダー観測に加えて、60発のGPSラジオゾンデ気球を放球し、また(ラマン・レイレー・3波長)ライダー、1.3GHz帯ウィンドプロファイラー、雲撮影用カメラによる連続観測を実施し、盛夏、台風、初秋など様々な気象条件でデータを取得することができた。特にGPSラジオゾンデ観測では、Wilson et al. [2010]によって開発された手法により乱流を検出するため、1秒毎のデータを取得し、オフライン処理を行った。観測結果の一例として、前線がMU観測所上空に存在する条件下で、ライダーやラジオゾンデ観測データから、前線の上側にのみ雲が存在し、下側は乾いていることが見出された。この時、MUレーダー観測データから、前線に沿って、その直下で鉛直流変動が激しく、スペクトル幅も大きい特徴が見出され、強い乱流が発生していることが示唆された。また、雲頂・雲底近くで発生する対流不安定に伴う乱流に関する定量的知見を発展させることにより、KHIが特殊な雲の生成に係わるメカニズムの解明にも成功した。
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