研究課題/領域番号 |
21540456
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
加藤 輝之 気象庁気象研究所, 予報研究部, 主任研究官 (70354438)
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研究分担者 |
中井 専人 独立行政法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究センター, 総括主任研究員 (20360365)
猪上 華子 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 研究官 (20442741)
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キーワード | 集中豪雨 / 豪雪 / 雲解像数値モデル / 気象レーダー |
研究概要 |
解析データからのアプローチとして、気象庁領域解析データを用いて日本周辺を対象に、積乱雲が発達できうる大気状態を調べるために豪雨の主たる発生要因の下層水蒸気場を代表する高度について統計的に調査した。今までに、気象庁の現業部門や多くの研究者は下層水蒸気場を850hPa面で見ていたが、850hPa面はほとんど下層水蒸気場を表現せず、梅雨期については豪雨の原因ではなく、対流活動の結果を示していることが新たに分かった。 雲解像数値モデルからのアプローチとして、豪雨をもたらす水蒸気は必ず積乱雲の雲底下から供給されることを念頭に置いて、水平分解能1kmの雲解像数値モデルの結果から積乱雲の雲底高度の高度別出現頻度を統計的に調べた。海陸ともにほとんどの雲底は高度1km以下に存在し、その出現ピークの高度は海上で300m付近、陸上で400m付近に存在していた。このことは、豪雨をもたらす水蒸気は少なくとも500m高度付近のものを見る必要があることを示唆している。また、雲底高度の相当温位をみることで、豪雨をもたらすケースの下層水蒸気場の目安を調べた。豪雨が多発する梅雨末期~夏期の九州・四国地方では、相当温位が355K以上のときに発達した積乱雲が予測されていることが分かった。 観測データからのアプローチとして、レーダーデータの統計解析に必要な、Ze-R関係(Ze:等価反射因子(dBZ),R:降水強度(mm hour^<-1>))の変動とZe校正値の変動との分離を行った。その結果、校正値変動をある程度の期間一定として解析できる可能性が示された。また、同一の降水強度値に対して、降水系によってZeに約2倍の差異のあることが示された。
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