研究課題
基盤研究(C)
平成21年3月の内合に続く6月の西方最大離角時に、ハワイ・マウナケアNASA-IRTFでの観測申請が受理され、現地時間6月12-15日朝の4朝を割り当てられた。タイトルは"Mapping of the Venus CO abundance above the cloud region"で、主に2.3μm域で分光撮像を行い、CO(1,0)帯のR19 4322cm^<-1>線および、基準としてのCO_2 R12 4426cm^<-1>線付近のスペクトルを昼半球全面にわたりドリフト・スキャンを用いて記録した。天候は前半比較的良好だったが、後半は薄雲に邪魔され、3日分程度のデータを得た。雲上のCO混合比を導くため、次の2ステップの操作を行なった。(1)CO_2線の吸収等価幅の観測値と計算値が一致するようにモデル大気中での雲高を調整し、最適高度偏差を決定する。雲モデルにはPollack他(1993)を修正したものを用いた。(2)得られた雲高偏差を考慮しつつ、CO線の吸収等価幅の観測値と計算値が一致するように、雲上でのCO混合比を決定する。この測定の代表高度は60-65km。この方法では副産物として雲高偏差の半球分布が得られる。緯度50度付近から雲高が下がりはじめ、極(70度以上)では赤道に比べ5-10km低いという分布が得られた。この傾向はこれまでの他の観測とおおむね一致する。CO混合比の半球分布に関しては、特徴的構造はなくほぼ一様という結果を得た。緯度分布に関しては過去に一測定例があるが、半球分布に関しては類例がない。雲下では高緯度で赤道に比べ数割多いという分布が得られており、子午面循環中での化学反応により説明されているため、雲上でも類似の分布を予想していたが、はずれた。今回得られた一様な半球分布は速い水平渦拡散の結果と解釈することができる。この結果を論じた報告はICARUS誌に受理され、12月22日にはweb上で公表された。
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ICARUS
ページ: 1-6
J.Geophys.Res 114
ページ: E00B37 1-14
http://www-space.eps.s.u-tokyo.ac.jp/group/iwagami-lab/