地球磁気圏のプラズマシートがどのようなプロセスで加熱されているのかは、磁気圏物理学における大きな課題である。磁気圏探査衛星Geotailの電場・磁場およびプラズマ粒子データを用い、プラズマシート内で観測される大振幅の非圧縮電磁流体波動である、アルフベン波の解析を行った。その結果、地球磁気圏尾部において、多くの大振幅アルフベン波イベントが発見された。更に、プラズマの分布関数等との比較研究により、大きなエネルギーを運んでいるアルフベン波はイオンビームのサイクロトロン不安定によって立てられており、イオンビームの減衰と共にアルフベン波も減衰するらしいことがわかった。リコネクションによって生じたイオンビームのエネルギーが、アルフベン波のエネルギーとなり、それがプラズマシートの加熱に寄与していることが示唆された。アルフベン波の運ぶポインティングフラックスの出現頻度を、プラズマの特徴によって分類して解析した。更に平成23年度は、Inner Magnetosphere Coupling II Conferenceにおいて、当該研究に関連の深い、内部磁気圏におけるアルフベン波の議論を行った。また将来の衛星プロジェクトでアルフベン波を計測するための計画を"Examination of Magnetic Field Measurement in the Inner Magnetosphere by ERG"という題目で発表した。アルフベン波を計測するための必要な磁力計の開発について、査読付き論文'Development of fluxgate magnetometers and applications to the space science missions'にまとめた。論文集'Science Instruments for Sounding Rocket and Satellite'にて出版予定である。
|