研究概要 |
コールベッドメタンは資源量が豊富で世界各地に分散して存在していることから,有望な天然ガス資源として世界的な関心が寄せられている.日本や東アジアの大陸縁辺域にも新生代の炭層が広く分布しているが,日本のように地殻変動が激しく活動的な地域では,炭層の多くが地下深部に存在しており,また,炭層の層厚が薄いためコールベッドメタンとして開発することは容易ではない.本研究では,地下深部に存在する十分に熟成した一連の炭層(炭層,炭質堆積物の互層)中に存在する遊離の炭化水素ガスの存在量を見積もりその資源価値を明らかにすること,また,炭層の変形や破壊にともなった炭化水素ガスの挙動(排出や吸着)について考察し,炭層の天然ガス根源岩としての特徴を解明することを目的としている. 平成21年度は石狩層群美唄層炭層の露頭サンプルのほか,石油資源開発(株)が苫小牧沼ノ端にて掘削中であった坑井の石狩層群相当層のカッティングスサンプル(深度約3000-4000m)を用いてそれらに存在する遊離ガス,吸着ガスの測定法に関する研究を行った.特に,PDHID(パルス放電ヘリウムイオン化検出器)による無機有機ガスの高感度同時測定法とコールベッドの破壊にともなって生成する炭化水素ガスの濃度と炭素水素安定同位体比の測定法に関する基礎研究を推進し,これらの測定法をほぼ確立することができた.今後は,これらの方法を適用して地下深部のコールベッド中に存在する炭化水素ガスの挙動を解明する計画である.
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