研究概要 |
本研究では,大きな地震が起きた際に,表層地質および地形によって特有の被害が発生するが,これまであまり注目されてこなかった表層地質による被害について,被害を起こした表層地質の.堆積環境発達史と堆積体としての物性的特徴,特に震動特性の2つの側面から被害の発生要因を解明し,同様な地質条件の場所で今後起こりうる地震の際に被害の予防対策になることを目的としている。 平成22年度は,実際に2007年新潟県中越沖地震で地表直下の地層が液状化したために,農地と宅地が変形し,家屋に被害ができた新潟県柏崎市東長崎地内において,表層地質の実態を明らかにするために,簡易貫入試験およびHDサンプラーによって約5m地下までの地層の調査をおこない,それらの堆積年代を明らかにするためにC14年代測定用の資料の採取をおこなった.その際,地盤沈下観測井に新潟県中越沖地震の変位記録が残されているのを発見し,3種類ある深度ごとの観測井ごとの変位記録を解析し,表層地質と地震の変位記録との関係を解析した. また,活断層上にあって,直下型地震の被害にあう可能性のある村山市白鳥地区の扇状地上において,層相による扇状地の堆積相を解析し.堆積環境の違いによる地震動の違いの基礎的調査研究を行なった. さらに,過去の地震被害の実態を踏まえるために,山形盆地において,聞き取りを含む,鳥居の地震被害履歴の調査をおこない,データを蓄積した.
|