表層地質・地形と地震動,地震被害と関係を明らかにするために,平成25年度は,昨年度の鳥居等の被害調査で,地震の際に表面波が卓越することが明らかになった山形盆地中央部の中山町長崎~達磨寺地域において設置した地震計で観測を継続し,表層地質と地震動との関係に関するデータを蓄積するとともに,2011年東北地方太平洋沖地震による甚大な津波を被った仙台平野のうち,仙台空港東側の宮城県名取市~岩沼市にかけての地震動による地形変化と表層地質との関係についての調査おこなった. 仙台平野の調査では,海岸平野ということで,仙台平野の微地形は,10数万年間におこった海水準変動による海岸砂丘と砂丘間低地が注目されていたが,実際には,仙台空港の東方では,微地形の検討および地元の方による井戸掘削時の地質状況の聞き込みなどから,海岸線方向に直交する方向の微地形があり,それが河川(阿武隈川)の自然堤防である可能性があることがわかった.実際に簡易ボーリング調査をおこなうことで,堆積構造から自然堤防堆積物であることがわかるとともに,その高まりが花崗岩由来の砂でできてていることから,阿武隈川の河道変遷によって河口が移動していたことが明らかになった.また,地形的にも砂丘間低地で,表層にラグーン堆積物が発達しているにもかかわらず,強震動による表層変形が起こっていない部分があり,そこでは,ラグーン堆積物の発達は厚さ50cmに満たず,ごく表層のみで,それの下は,河川成堆積物が発達していることがわかり,表層付近の地質は,非常に複雑であることがわかった. 一方,山形盆地中央部の達磨寺における地震動観測では,同じ山形盆地における気象庁や防災科研による観測地点と比べて,明らかに長周期の地震動になっていることが明らかになり,地震被害状況から予測された,厚い軟弱な泥質地質による地震動の長周期化が裏付けられた.
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