研究課題
朝鮮半島中部、京畿地塊の華川地域、春川-束草地域、瑞山-公州地域の地質調査を実施して、グラニュライト相変成岩の地形学的上位に、厚さ200~500mのマイロナイト帯を挟んで、角閃岩相変成岩が重なること、両岩石の剪断センスはtop-to-the-NEであることを明らかにした。更に、岩石学とCHIME年代測定・年代マッピングにより、(1)グラニュライトは原生代(約18.5億年)の累進及び後退変成作用を記録し、角閃岩相変成岩はペルム-三畳紀(約2.4億年)の年代を記録していること、(2)マイロナイト帯から2-3kmまでのグラニュライトに菫青石がMg-ザクロ石を置換するペルム-三畳紀の重複変成があること、(3)マイロナイトがペルム-三畳紀の角閃岩相変成を被っていること、(4)角閃岩相変成岩の原岩は原生代後期(800Ma)以降に堆積したものであること、を明らかにした。華川地域の京畿地塊について、グラニュライトと角閃岩相変成岩は大規模な衝上断層で接する別個の地質体であり、マイロナイト帯近傍のグラニュライトに残るペルム-三畳紀重複変成は衝上した角閃岩相地質体の接触変成作用と解釈して報告した。春川地域の角閃岩はE・タイプMORBの化学組成を有し、ザクロ石角閃岩は同じ露頭から採取した非ザクロ石岩よりSrに乏しい。この鉱物共生と化学組成を解析して、角閃岩が累進的に緑色片岩相と角閃岩相の変成を受け、エクロジャイト相の変成度には達していないことを明らかにした。グラニュライト基盤が分布する京畿地塊ではE-タイプMORBの火成活動を考えにくいので、春川地域の角閃岩と随伴する堆積岩源変成岩を衝上体と解釈した。ポーランドTrebic Plutonおよび中国九華山花崗岩のジルコンをCHIME法と同位体法で比較分析して、Pbの少ないジルコンのCHIME年代測定の高精度化も実現した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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