研究課題
朝鮮半島中部に分布する京畿地塊の地質調査を実施し、グラニュライト相変成岩の地形学的上位に、厚さ200~500mのマイロナイト帯を挟んで角閃岩相変成岩が重なること、両岩石の剪断センスはtop-to-the-NEであることを明らかにした。洪城地域の白銅ザクロ石グラニュライトは、飛鳳エクロジャイトと共に、ペルム-三畳紀の大陸衝突に伴う超高圧変成作用を受けたと推定されてきた。しかし、白銅グラニュライトのザクロ石、ジルコン、アラナイト間のYの分配とCHIME年代を解析した結果、高Caザクロ石の成長した高圧累進変成作用が約430Ma、高Caザクロ石が分解した後退変成作用が236Maであることが明らかになった。この形成史は、ペルム-三畳紀の累進変成で生じた飛鳳エクロジャイトと異なる。従って、両者を一連の変成岩と考えて中国山東半島の蘇魯衝突帯に対比することには無理があることが判明した。そこで、原生代のグラニュライトユニットとペルム-三畳紀の片麻岩ユニットの関係を京畿地塊北東部の春川-束草地域地域で検討した。両者の境界は、幅数100m以上に渡ってマイロナイト化し、マイロナイト自体が変成を被っている。マイロナイト帯から離れた地域のグラニュライトは約1.87Ga前の変成作用のみを記録し復変成作用の痕跡を示さない。他方、マイロナイト帯に近いグラニュライトのザクロ石は、塑性変形の後の低圧変成作用で董青石に置換されている。ザクロ石中のモナザイト(1.87Ga)と董青石中のモナザィト(1.87Gaのコアと240Maのリム)の年代が異なることから、(1)片麻岩ユニットはグラニュライトユニットに衝上したペルム-三畳紀変成岩からなる高温のallochthonであり、(2)その熱でマイロナイト帯やその近傍のグラニュライトユニットが接触変成した、と解釈した。
すべて 2010
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Journal of Earth and Planetary Sciences, Nagoya University
巻: 57 ページ: 19-41