研究課題
大韓民国の華川-草束地域と洪域-公州地域の京畿地塊から採取した変成岩の CHIME 年代測定と岩石学的・地球化学的解析および剪断センスの解析を実施し、京畿地塊全体にわたって原生代初期のグラニュライト相地質体(中朝地塊)の上にペルムー三畳紀の角閃岩相地質体が西南方向から北東方向に衝上していることを確認した。また、衝上帯のグラニュライト起源マイロナイトでは,衝上運動の後でMg-ザクロ石のポーフィロクラストの周辺が童青石で置換される変成作用を受けていること、ザクロ石中のモナザイトは18.5億年の一様な年代を示すのに対して菫青石中の粒子は18.5億年のコアと240-250Maの高Yリムの累帯構造を示すことが元素・年代マッピングにより明らかになった。これらのデータを総合して、(1)京畿地塊のペルムー三畳紀地質体は揚子江地塊起源であり、(2)中朝-揚子江地塊の衝突に伴う高温変成作用の直後に、トランスフォーム断層を越えて東方の中朝地塊に衝上し、(3)グラニュライト相基盤岩に接触変成をもたらしたと結論し、オーストラリア、パースで開催された国際学会で報告(招待講演)した。ペルムー三畳紀地質体の分布を明らかにするために、朝鮮半島南部に分布する嶺南地塊の地質調査と変成岩の CHIME 年代測定を実施した。これにより、嶺南地塊の基盤岩はグラニュライト相と角閃岩相の変成岩で構成されていること、両者の境界は漸移的でマイロナイト帯が存在しないこと、CHIMEモナザイト年代は18.5億年でペルムー三畳紀の重複変成を受けていないことが明らかになり、嶺南地塊は中朝地塊の一部であることが判明した。これは山東半島の中朝-揚子江衝突帯が朝鮮半島まで延長していないとする本研究の結論と整合する。さらに、ザクロ石-モナザイトのY分配に関する比較研究とザクロ石の結晶化学的研究も実施した。
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