研究課題
フィリピン海はマリアナトラフ、四国・パレスベラ海盆、西フィリピン海盆などの背弧海盆と島弧(古島弧を含む)・海溝系の複合地質体であり、背弧拡大系のテクトニクスと進化を研究する上で重要な海域である。特に、パレスベラ海盆北部(北緯15-24度)については、低角デタッチメント断層の下盤ブロックである海洋コアコンプレックス(OCC)が多く分布することが判明(世界最大のOCCであるゴジラムリオン等)している。本年度は海洋研究開発機構の深海潜水調査支援母船「よこすか」および潜水調査船「しんかい6500」による、ゴジラムリオンの調査を実施(YK09-05航海;航海期間は2009年5月3日-5月22日)した。母船での精密地形調査と潜水艇での海底地質観察により、ゴジラムリオンがデタッチメント断層の下盤であることの検証と、形成モデルの提案を目指している。ゴジラムリオンの断裂帯側壁等での、9回の潜航調査で岩相・微地形・断層地形・断層の分布等の目視観察を行い、マッピング後試料採集を行った。その際近接した斜面の深所(水深6000-5000m:構成岩石は主にマントルカンラン岩-ガブロ)と浅所(水深5000-4000m:同じくガブロー火山岩)のペアで潜航し、一つの斜面の比較的長大な側線に沿う海洋底地質断面の観察を試みた。採集された海洋底地質断面構成岩石のカンラン岩・ガブロ・火山岩の全岩化学組成、構成鉱物組成分析から、構成岩石の岩石学的・地球科学的特色を明らかにした。更にガブロからは温度・圧力履歴、U-Pbジルコン年代、また玄武岩からはAr-Ar年代を求めつつある。変型の著しい岩石(マイロナイト・カタクレーサイト等の断層岩)の、構成鉱物及び変形微細構造解析から、流動応力の推定・流動メカニズムの解析等を行い、構造岩石学的観点からの構造発達史研究も進行中である。
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